パーツのスペック CPU
AMD(R) デスクトップ 編
先に急所を押えたいたい方はPOINTへ。
■ CPU (AMD)
AMD(R) 「CPU」 のラインナップはインテル(R) 以上に複雑なことになっています。
性能を理解するキーワードとして
- コア(開発コード名)
- クロック周波数(モデルナンバ)と「IPC」
- L2キャッシュ(2次キャッシュ)
- HyperTransport(ハイパートランスポート)
- EM64T(64ビットOS対応)
- デュアルコア
- Socket AM2(DDR2対応新CPU)
の5つを押えておきましょう。
1. コア
「コア」は「CPU」の中枢部分です。開発コード名で
「Athlon 64」の「コア」は
初代の ClawHammer 「クロウハマー」コア (L2キャッシュ 1MB)。
「ハイパートランスポート」を800MHzから1GHzにした
Newcastle 「ニューキャッスル」コア (L2キャッシュ 512KB)。
製造プロセスを130ナノメートルから90ナノメートルへ細微化した
新型のWinchester 「ウインチェスター」コア (L2キャッシュ 512KB)、
San Diego 「サンディエゴ」コア (L2キャッシュ 1MB)、
Venice 「ベニス」コア (L2キャッシュ 512KB)があります。
「Sempron」シリーズのコア名は公表されていません。
「Athlon 64」は「Pentium 4」 「500」「600」 シリーズに性能的に対応し、
「Sempron」は「Celeron D」のライバルです。
2. クロック周波数 (モデルナンバ)と「IPC」
「Athlon」、「Duron」までは製品名に「クロック周波数」が表示されていましたが、「AthlonXP」から4桁の
「モデルナンバ」表示へ変更されました。型番の大きい方が高性能を表わします。
また「モデルナンバ」には別の意味がこめられているといいます。
「3200+」ならインテル(R)「CPU」「3.2GHz」製品と同等以上の性能を有しているという暗黙の主張です。
AthlonXP 3200+ (2.2GHz) = Pentium 4 540 (3.2GHz)
AthlonXP 3000+ (2.17GHz) = Pentium 4 530 (3.0GHz)
AMD(R)の「CPU」は「クロック周波数」がインテル(R)より低めです。
これは設計アーキテクチャの違いの問題なので、「モデルナンバ」は
「クロック周波数」同士で性能を単純に判断してくれるなというサインです。
AMD(R)「CPU」は「クロック周波数」を押えて「IPC」(1クロックで実行する命令数)を上げることで全体の性能向上を目指しています。
インテル(R)は「IPC」を押えて「クロック周波数」を上げることで「CPU」の性能を向上をめざしていました。
しかしクロックアップに限界がでてきたインテル(R)が製品の「クロック周波数」表示から「プロセッサ・ナンバ」
表示に切り替えてしまったせいでAMD(R)の採用する「モデルナンバ」の暗黙の意味がわかりにくいものになってしまいました。
「モデルナンバ」、「プロセッサ・ナンバ」とクロック周波数の対応は
AMD(R)製CPUのラインナップを参照して下さい。当サイトの独断なので
あくまで一応の参考程度に。
3. L2キャッシュ
「カタログ」にはよく「CPU」の「クロック周波数」表示の横に「L2キャッシュ」 1MB、512KB、256KB、128KB 等の表記があります。
これを「2次キャッシュ」(補助用の高速メモリ)といいます。
「メモリ」と「CPU」間で命令をやり取りする場合に「L2キャッシュ」に命令を一時保存します。
「メモリ」より「L2キャッシュ」のほうが処理が高速なので、超高速な「CPU」とやり取りする場合に効率が上がります。
「L2キャッシュ」の容量が多い方が処理速度が速いことになります。
AMD(R)の製品は同一「モデルナンバ」でも「L2キャッシュ」容量の違う製品が存在するので、注意が必要です。
またAMD(R)製品の場合「L2キャッシュ」の容量の多い方が高性能の指標がというとそうでもありません。
インテル(R)製品でも「L2キャッシュ」を2MB搭載したPentium 4 600 シリーズが出ていますがあまり性能向上には
寄与していないようです。
4. HyperTransport(ハイパートランスポート)
「カタログ」の「L2キャッシュ」表示の横に「FSB 533MHz」、「FSB 800MHz」などの表記があります。
これが「FSBクロック」(フロント・サイド・パス)といって「CPU」と「チップセット」間
の処理速度を表わします。
「Socket939」、「Socket754」の「Athlon 64」は「ハイパートランスポート」という「CPU」と「メモリ」間の直接データ転送技術を採用しています。
これは「チップセット」を介さないで直接「CPU」と「メモリ」間のデータを制御する技術で「CPU」に「メモリコントローラー」が
内臓されています。
それで「Athlon 64」は「チップセット」の「FSB」に意味がありません。
「SockA」の「Sempron」は「ハイパートランスポート」を使用していませんので、従来の「FSB」を介して「チップセット」で
「CPU」と「メモリ」間のデータ転送を制御しています。
5. EM64T (64ビットOS対応)
インテル(R)に先行すること1年以上前に、AMD(R)は64ビットOS対応の「Athlon 64」を出荷しています。
2005年5月に64ビット「OS」「Windows XP Professional x64 Edition」 が発売されました。
これによりやっと「Athlon 64」シリーズがその真価を発揮するはずなのですが、
「ビデオカード」「プリンタ」などの「デバイスドライバ」の充実(64ビット対応)が課題になり、
まだ64ビット環境の普及には時間がかかるようです。
6. デュアルコア
一個の「CPU」に2つの「コア」を搭載した「Athlon 64 X2」が登場します。
発売こそ「Pentium D」の方が先行しましたが「デュアルコア」の開発自体は
AMD(R)の方が先行していました。
動作周波数表示のとりやめ、64ビット化、デュアルコアと最近の技術的なトレンドでは
AMD(R)の方がリードしているようです。
AMD(R)の「デュアルコア」「CPU」も既存のチップセットで動作するようです。
(バイオスのアップデートは必要)
クロックアップの限界から、ロードマップを修正して「デュアルコア」「CPU」を急遽投入した
インテル(R)は「チップセット」「925」「915」 シリーズでデュアルコア対応ができませんでした。
7. Socket AM2
DDR2 メモリをサポートした Socket AM2が登場しました。Socket939よりCPUのピンの数が1ピン多い940ピンで
Socket939マザーボードとの互換性はありません。「Athlon FX」から廉価版「Sempron」までの共通プラットフォーム
となります。Socket AM2 CPUにはTDP(熱設計電力)を押えたシリーズもあります。AMDもインテルもコアの複数化
による消費電力をクロック周波数に変わる性能の指標にしていく戦略のようです。
AMD(R)製CPUのラインナップ (最終更新日 2006年06月16日)
■ DDR2メモリ対応 新ソケット デュアルコアCPU
Athlon 64 FX (Socket AM2) | クロック | コア開発名 | メモリタイプ | NX | 64 bit | キャッシュ | コメント ライバル? |
62 | 2.8GHz | ウインドソール | PC2-6400 (DDR2 800) | ○ | ○ | L2 1MB X2 | Pentium EE 965 ? |
■ DDR2メモリ対応 新ソケット デュアルコアCPU
Athlon 64 X2 (Socket AM2) | クロック | コア開発名 | メモリタイプ | NX | 64 bit | キャッシュ | コメント ライバル? |
5000+ | 2.6GHz | ウインドソール | PC2-6400 (DDR2 800) | ○ | ○ | L2 512KB X2 | Pentium D 960 ? |
4800+ | 2.4GHz | ウインドソール | PC2-6400 (DDR2 800) | ○ | ○ | L2 1MB X2 | TDP65W 版有り |
4600+ | 2.4GHz | ウインドソール | PC2-6400 (DDR2 800) | ○ | ○ | L2 512KB X2 | TDP65W 版有り |
4400+ | 2.2GHz | ウインドソール | PC2-6400 (DDR2 800) | ○ | ○ | L2 1MB X2 | TDP65W 版有り |
4200+ | 2.2GHz | ウインドソール | PC2-6400 (DDR2 800) | ○ | ○ | L2 512KB X2 | TDP65W 版有り |
4000+ | 2GHz | ウインドソール | PC2-6400 (DDR2 800) | ○ | ○ | L2 1MB X2 | TDP65W 版有り |
3800+ | 2.4GHz | ウインドソール | PC2-6400 (DDR2 800) | ○ | ○ | L2 512KB X2 | TDP65W 版有り TDP35W 版有り |
■ DDR2メモリ対応 新ソケット シングルコアCPU
Athlon 64 (Socket AM2) | クロック | コア開発名 | メモリタイプ | NX | 64 bit | キャッシュ | コメント ライバル? |
3800+ | 2.4GHz | オルレアン | PC2-5300 (DDR2 677) | ○ | ○ | L2 512KB | |
3500+ | 2.2GHz | オルレアン | PC2-5300 (DDR2 677) | ○ | ○ | L2 512KB | TDP35W 版有り |
■ DDR2メモリ対応 新ソケット 廉価版 シングルコアCPU
Sempron (Socket AM2) | クロック | コア開発名 | メモリタイプ | NX | 64 bit | キャッシュ | コメント ライバル? |
3600+ | 2GHz | マニラ | PC2-5300 (DDR2 677) | ○ | ○ | L2 256KB | |
3500+ | 2GHz | マニラ | PC2-5300 (DDR2 677) | ○ | ○ | L2 128KB | |
3400+ | 1.8GHz | マニラ | PC2-5300 (DDR2 677) | ○ | ○ | L2 256KB | TDP35W 版有り |
3200+ | 1.8GHz | マニラ | PC2-5300 (DDR2 677) | ○ | ○ | L2 128KB | TDP35W 版有り |
3000+ | 1.6GHz | マニラ | PC2-5300 (DDR2 677) | ○ | ○ | L2 256KB | TDP35W 版有り |
■ DDRメモリ対応 デュアルコアCPU
Athlon 64 X2 (Socket939) | クロック | コア開発名 | メモリタイプ | NX | 64 bit | キャッシュ | コメント ライバル? |
4800+ | 2.4GHz | 不明 | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 1MB X2 | |
4600+ | 2.4GHz | 不明 | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB X2 | |
4400+ | 2.2GHz | 不明 | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 1MB X2 | |
4200+ | 2.2GHz | 不明 | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB X2 | |
3800+ | 2GHz | 不明 | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB X2 | |
■ DDRメモリ対応 シングルコアCPU
Athlon 64 (Socket939) | クロック | コア開発名 | メモリタイプ | NX | 64 bit | キャッシュ | コメント ライバル? |
4000+ | 2.4GHz | サンディエゴ | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 1MB | |
4000+ | 2.4GHz | クロウハマー | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 1MB | |
3800+ | 2.4GHz | ベニス | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB | Pentium4 660,570 (3.8GHz) |
3800+ | 2.4GHz | ニューキャッスル | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB | Pentium4 660,570 (3.8GHz) |
3700+ | 2.2GHz | サンディエゴ | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 1MB | Pentium4 650,560 (3.6GHz) |
3500+ | 2.2GHz | ニューキャッスル | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB | Pentium4 650,560 (3.6GHz) |
3500+ | 2.2GHz | ウインチェスター | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB | Pentium4 640,550 (3.4GHz) |
3200+ | 2.0GHz | ベニス | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB | Pentium4 630,540 (3.2GHz) |
3200+ | 2.0GHz | ウインチェスター | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB | Pentium4 630,540 (3.2GHz) |
3000+ | 1.8GHz | ベニス | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB | Pentium4 530 (3GHz) |
3000+ | 1.8GHz | ウインチェスター | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB | Pentium4 530 (3GHz) |
■ DDRメモリ対応 シングルコアCPU
Athlon 64 (Socket754) | クロック | コア開発名 | メモリタイプ | NX | 64 bit | キャッシュ | コメント ライバル? |
3700+ | 2.4GHz | クロウハマー | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 1MB | Pentium4 570 (3.8GHz) |
3400+ | 2.4GHz | ニューキャッスル | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB | Pentium4 550 (3.4GHz) |
3400+ | 2.2GHz | クロウハマー | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 1MB | Pentium4 550 (3.4GHz) |
3200+ | 2.2GHz | ニューキャッスル | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB | Pentium4 540 (3.2GHz) |
3200+ | 2.0GHz | クロウハマー | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 1MB | Pentium4 540 (3.2GHz) |
3000+ | 2.0GHz | ニューキャッスル | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB | Pentium4 530 (3GHz) |
2800+ | 1.8GHz | ニューキャッスル | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | ○ | ○ | L2 512KB | Pentium4 520 (2.8GHz) |
■ DDRメモリ対応 廉価版 シングルコアCPU
Sempron (Socket754) | クロック | コア開発名 | メモリタイプ | NX | キャッシュ | コメント ライバル? |
3100+ | 1.8GHz | 不明 | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | | L2 256KB | Celeron D 345 (3.06GHz) |
3000+ | 1.8GHz | 不明 | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | | L2 128KB | Celeron D 340 (2.93GHz) |
2800+ | 1.6GHz | 不明 | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | | L2 256KB | Celeron D 335 (2.8GHz) |
2600+ | 1.6GHz | 不明 | PC3200(DDR400) PC2700(DDR333) PC2100(DDR266) | | L2 128KB | Celeron D 330 (2.66GHz) |
■ DDRメモリ対応 廉価版 シングルコアCPU
Sempron (SockA(462)) | クロック | コア開発名 | FSB | NX | キャッシュ | コメント ライバル? |
3000+ | 2.0GHz | 不明 | 333MHz | | L2 512KB | Celeron D 345 (3.06GHz) |
2800+ | 2.0GHz | 不明 | 333MHz | | L2 256KB | Celeron D 335 (2.8GHz) |
2600+ | 1.83GHz | 不明 | 333MHz | | L2 256KB | Celeron D 330 (2.67GHz) |
2500+ | 1.75GHz | 不明 | 333MHz | | L2 256KB | Celeron D 325 (2.53GHz) |
2400+ | 1.66GHz | 不明 | 333MHz | | L2 256KB | Celeron D 320 (2.4GHz) |
2300+ | 1.583GHz | 不明 | 333MHz | | L2 256KB | Celeron D 315 (2.26GHz) |
2200+ | 1.50GHz | 不明 | 333MHz | | L2 256KB | Celeron D 315 (2.26GHz) |
型番の読み方
「L2キャッシュ」から「CPU」の種類を理解するとわかりやすくなります。
「Socket754」の「Athlon64」から「L2キャッシュ」の容量を減らした廉価版が「Socket754」「Sempron」。
「SockA(462)」の「Athlon XP」から「L2キャッシュ」の容量を減らした廉価版が「SockA(462)」「Sempron」。
この関係は「Pentium 4」と「Celeron」の関係と同じです。
「Athlon」、「Duron」、「Athlon XP」の下位モデルは現在「Sempron」に置き換わりつつあります。
AMD(R)「CPU」は「モデルナンバ」が同じで「コア」の違う製品があるので注意が必要です。
POINT
製品一覧のコメント欄にAMD(R)が性能のターゲットとしていると思われるインテル(R)の「CPU」製品の「プロセッサ・ナンバ」を
付記しておきました。一応の目安として参考にして下さい。
「AMD(R)のCPU単体の価格を価格.comで比較してみる」
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